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アコースティックギターの分類

2019/11/27 
WOODギター科 板倉 広征 講師

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皆さんこんにちは。ウッドギター科の板倉です。

前回のコラムでは「エレキギター」の分類について大まかに説明しましたので、今回は「アコースティックギター」の分類をしてみたいと思います。

●アコースティックギターの定義
…と、その前に前回は軽く流してしまいましたが、いま一度「アコギ」の定義について再確認してみましょう。まず「ギター」自体の大まかな分類として「エレキ」「アコギ」の2つがあります。

『エレキ』…アンプに繋いで電気的に音を出すギター
『アコギ』…空洞のボディに音を共鳴させて生音で弾くギター

…という感じです。そもそも昔は「電気的に音を鳴らす」なんていうことはありませんでしたから、「ギター」といったら全て「アコギ」、すなわち生音で鳴らす楽器でした。
後に「エレキギター」というものが生まれたので、便宜的に「アコースティックギター」という分類を作った、ということですね。
さて、この「アコギ」に分類されるギターの中でも、様々な呼び名が存在します。皆さんもどんなものがあるか、一緒に考えてみましょう。

[1]フォークギター
まず代表的なアコギの一種が、このフォークギターです。
その名の通りフォークソングなど、弾き語りの伴奏としてコードストロークやアルペジオで演奏されることが多いですね。スチール製の弦が張られており、ジャカジャカと煌びやかな音色が特徴です。
時代の流行りもありますが、「アコギをやっている人」といったら最近はほとんどこのフォークギターにあたるものが多いのではないでしょうか。ちなみにウッドで行っているアコギのレッスンや、貸し出し用に置いてあるアコギも、基本的には全てこのフォークギターです。

[2]クラシックギター
続いて、フォークギターと対称になるのがクラシックギターです。
フォークギターとの違いとしては、まず弦がスチールではなくナイロン製です。スチールに比べ柔らかい素材のため、押弦するにあたって左手はそこまで痛くなりません。その代わり指板の幅が広いため、和音を押さえるには指の置き方をフォークギターとは変える必要があります。
ウッドでギターレッスンを受けたことのある方なら、ギターの構え方で「ロック(ブルース)フォーム」「クラシックフォーム」の違いを教わった方もいらっしゃるかもしれません。その「クラシックフォーム」が、まさにこのクラシックギターを弾くときに使う構え方です(※エレキやフォークでもこの構え方を使うことはあります)。実際に弾いている人を見てみるとわかりますが、ギターは左足に乗せ、かなりギターを立てて弾きます。また、基本的に座った状態でしか弾きません。
フォークギターが弾き語りなどで使われることが多いのに対して、クラシックギターはソロギター(1本で伴奏とメロディを同時に弾く演奏)やフラメンコなどに使われることが多くなっており、ピックを使うこともあまりありません。演奏難易度は高いですが、ナイロン弦の「ポロンポロン」という温かい音色は独特の優しさがあり、大きな魅力の一つです。

●その他の呼び名
アコギの大まかな分類は上記2つですが、それ以外にも耳にするギターの呼び名があるかと思います。

・ガットギター
クラシックギターの別名です。「ガット」とは羊の腸などで作られた紐のことで、昔のクラシックギターにはガットで作られた弦が張られていたため、このように呼ばれることがあります。テニスラケットに張られているものもガットと呼ばれていますね。

・ナイロンギター
こちらもクラシックギターの別名です。先述のガットが弦として用いられることは現在ではほとんどなく、ナイロン製の弦が主流となっているため、このように呼ばれることもあります。

・スチールギター
「ガットギター」と「ナイロンギター」は弦の種類からクラシックギターを指してそう呼ばれるようになりました。
では「スチールギター」と言ったらスチール製の弦、つまりフォークギターのこと…?と思われてしまうかもしれませんが、ご注意ください。
「スチールギター」は全く別の楽器です。ハワイアンなどで多く使われる弦楽器ですが、その他のギターとは形も奏法も全く異なり、琴のように寝かせ、スライドバーなどを使って演奏されます。興味のある方はぜひ調べてみてください。

●まとめ
さて、2回にわたって様々なギターの分類をお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか?
身も蓋もない話ですが、これらの分類や名称というのは、あくまで便宜的に後からつけられたものであることが多く、明確な違いのもとに区切りがあるわけではありません。音楽のジャンル分類と同じですね。
今回の内容でいえば、たとえばフォークギターでソロギターを演奏するギタリストもいますし、「エレガット」といってクラシックギターをエレキ化したようなモデルも作られており、あまりにも色々な種類が登場しているため、それぞれの区切り目は近年ますます曖昧になってきています。
「このギターだから○○を演奏しなければならない」というような決まりごとはありませんので、あくまでその成り立ちや特徴を知り、その上で自分がどのようなスタイルを目指し、どのようなギターを使うかの参考にしていただければ幸いです。

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