TOP > ミュージックスクールウッド ピックアップアーティスト > Xceon × 竹原舞美さん 公開インタビュー

1月25日(木)、WOOD新宿御苑校にて、作曲家・アーティストであるXceon氏と全日制を卒業した竹原舞美さんにお越し頂き、「Xceon 2ndアルバム発売記念 Xceon × 竹原舞美 公開インタビュー」を行ないました。 作曲家・クリエーターとしての心構えや価値観、制作の裏側、ボーカリストとしての心構え、メジャーデビューまでの道のりなど、普段は聞くことができない興味深いお話が満載でした。今回は竹原舞美さんの公開インタビューの内容をお届けいたします。
11/20生まれ函館市出身、シンガーソングライター、東方サークル「Frost Fragment」所属。ゼノ・アルケミア/Iceon ft.竹原舞美 (冒涜的選択のアレグリア)で2017年5月シンガーとしてCDデビュー。その後、Pursuit of a dream/Sterving Trancer ft.竹原舞美(ユーロバカ一代V0l.9)、 Reside/竹原舞美ArrangeMasayoshiMinoshima(Sweetest Paranoia)、Shooting Star / Starving Trancer ft. 竹原舞美(CDI.M-P.U.L.S.Σ / Xceon) と矢継ぎ早にCDをリリース。日本橋三越本店「おんがくのカフェ」で隔週土曜日フォークソングのカバーを中心にライブ出演中。シリーズ累計400万人以上が激戦を繰り広げた、RPG「戦国ハ?スター」にて織田信長の次女「冬姫」のキャラクターボイスに挑戦。また、ライブ配信SHOWROOMではピアノ弾き語りや音楽レポートを、YouTubeでは定期的にカバー動画を配信中。 2017年10月16日@渋谷TSUTAYA O-EAST「d-girls4周年記念」にIceon と共にゲスト参加「ゼノ・アルケミア」を、11月11日には@豊洲ピット「EDP×SDVX×2017アルティメットガクエンサイ」にXceonと共に出演、 3000人の前でオリジナル「脈動するアルテリア」をパフォーマンス。そして、2018年2月7日EXIT TUNES/PONYCANYONより「冬椿/Xceon・ QWCE-90014」に「Blue Glow」でゲスト参加、待望のメジャーデビューが決定!!
竹原舞美さん 「レコーディング制作の裏側、メジャーデビューまでの軌跡」
―メジャーデビュー決定おめでとうございます。 今のお気持ちをお聞かせください。
たくさんの方に支えていただいて、応援していただいて、今こうしてお祝いもしていただいて… メジャーデビューさせていただけることを本当に嬉しく思いますし、光栄に思いますし。 「これからは更にもっと頑張っていかなければな、ここからがスタートだな」というふうに思っております。
―メジャーデビューに至るまでに、竹原さんはどういうことをしてきたんでしょう。
ちょうど1年前くらいに、まず事務所の海老原専務から「東方Vocalのアレンジをしている方のCDに参加してみないか」というお話をいただきまして、「是非やってみたいです」と。
それが第一弾の【ゼノ・アルケミア/Iceon ft.竹原舞美 (冒涜的選択のアレグリア)】だったんですけどそこから全て始まって、本当にたくさん楽曲を歌わせていただきました。
TSUTAYA O-EASTのライブ、豊洲PITのライブ、日本橋三越のおんがくのカフェ、とひとつひとつ、
ほかの事を考える余裕がないくらい全力でやってきて
気がついたら今日、という感じですね。
―ひとつひとつひたすらライブをこなしてきた結果デビューしているというろでしょうか。

着実に努力していたんですね。
「1回1回のライブに対して全力」ということなんですが、普段ライブで意識していることはありますか?

ライブ以外の音楽活動もたくさんさせていただいていて、
まだ皆さんにはお見せすることはできていないんですが作詞活動も、
何度もアドバイスいただいてリテイクして、と頑張っています。
見ている方のコメントが直に来る、SHOWROOMのような、ネットでの配信も大切に、一生懸命取り組んでいます。
そんな他の音楽活動と比べると、ライブって、聴いてくださる方々がいる環境じゃないですか。
なので「聴いてくださる方が今、どう思って聴いてくださっているのか」を意識することが私がいちばん根っこにして、芯にして大事にしていることかもしれないですね。

―聴いてる人がどう思っているか
ライブに来た方に、帰るとき「竹原の歌を聴けてよかった、楽しかった」と思ってもらうことが、
他のことより、いちばん好きなんです。
それが目的で歌っているといっても過言じゃないくらい。
「また明日から頑張ろう」って思ってもらえるのが、私の歌ってる意味なので。
―相手がどう思っているのかを常に意識してるんですね。
私には、ボーカルは「自分をどう表現すればいいか」とか、
自分の視点から考えているというイメージがあったんですが、
竹原さんの場合はむしろ「相手がどう思うか」を意識されてるんですね。

以前は「こういうふうに歌わなければいけない、ピッチをはずしちゃいけない、歌詞を間違えちゃいけない」とそればっかり考えて歌っていました。
日本橋三越のおんがくのカフェでも最初は「ピッチも歌詞もまちがえちゃいけない、どうしよう」という思いで歌っていて、そうだったからかわからないですけど、
お客さんに一生懸命目を合わせてもそっぽを向かれてしまってました。
「私が伝えようとしてるのに何でそっぽ向くの」って悩んでいたとき、
「お客さんに伝えようとしなければ伝わるものも伝わらないよ」というアドバイスをいただきました。
私がピッチとか音楽に悪い方向に引っ張られすぎて、「お客さんや聴いてくださる方に届けたい」って言う気持ちが妨害されていたんですよ。
ライブの回数を重ねるうちにそれがわかってきて、やっぱり人を思って歌うことが大事だなと。
―実際に経験して気づいたんですね。指摘があって、それに自分も納得して……

やっぱりライブこなすことは大事ですか?

今の時代ってネットの環境も整っているので、誰にでもどこにでも届けられるとは思うんですよ。
でも人前で歌う、歌手という職業である以上、「どのように届けたい」っていうのを忘れちゃいけないと、
今も思ってますしこれからも思っていくだろうなと。
ライブは、人前で聴いてもらうのは大事だと思います。

―今回の楽曲について、
 最初Xceon氏からデモ音源が送られて来て、どう思いましたか?
最初はほんとにバラード調の、ピアノが引き立つ、音数が少ない状態で送っていただいたんですけど
あまりに綺麗さと透明感に家でひとりで泣いてしまって…それくらい感動しました。
それから音数が増えてダンスミュージックになって、「背中をググッと押してくれる楽曲になったな」と。
― 他のレコーディングのお仕事でも、
デモ音源から楽曲の印象が変わるということは多いですか
そんなに多くはないと思いますね。
今回は雰囲気をつかむためにという意味もあって、Xceonさんが早くデモを送ってくれたので。
―Xceonさんから注文は来るのですか? 「今回はこういうふうに歌ってくれ」とか。
最初はあまりないんですけど、
Xceonさんから、「こういうふうにしたらもっといいんじゃないか」とか
「ここはこうしたほうがいいんじゃないか」といったアドバイスはいただきます。
―まずはとりあえず歌ってみて、それに対して指摘があるんですね。
 海老原社長も「時代はスタジオ録音ではなく宅録だ」とおっしゃってましたけど、
 歌い手であっても竹原さんのように、家でDTM系・録音系を扱えたほうがいいですか?
YouTubeかなんかで動画を定期的に配信するんだったら、家での録音をメインにしたほうがやりやすいと思います。
私は中学生の頃からお小遣いをこつこつ貯めて、歌を録音できる環境を家に作ってました。
なので家に録音環境があるのは、今となっては私にとって普通のことになっていますが、「あってよかったな」と思ってます。
―他の方とのお仕事でも、仮歌を自分で録音して送ることが多いですか?
そうですね。いちど自分で歌ってみて、音源を送ってアドバイスをいただいてからレコーディング当日、ということが私は多いです。
―そういったやり取りを繰り返して、本番のレコーディングに臨むのですね。
 本番のレコーディングでは、Xceonさんはどんな感じの方でしたか?
私がちがちに緊張してしまうタイプの人間なので レコーディングの最初は硬い歌になってしまうんですけど
それを一生懸命、面白いことを言ってくださったり、むしろ「面白いこと言って」って私に振ってくださったりして、ほぐしてくれます。
「竹原さんの歌のこういうところがいいと思ってるから、今回の曲はそれが活きるようにしてるから」と言ってくださって、私の不安の材料を打ち消してくれる、優しい方だなと。
―今回の楽曲「Blue Glow」について、
 「こういうところを私は意識して歌いました」というところがあれば教えてください。
「青く輝く」ということで、まっすぐで透明感のあって、だけど背中をグッグッグッと押してくれる曲で、
歌詞も「夢とか希望とか風とか全部味方にして、私もあなたも一緒に未来に向かって歩いていこうよ。私が手をひっぱるから」というものになっています。
そんな力強い女の子の曲だったので、「とにかく曲げずにまっすぐまっすぐ」というのを意識して歌いました。
―これは後ほど歌っていただくのが楽しみですね
 ここからは生徒からの質問にお答えいただきたいのですが、「音楽以外の趣味は何ですか?」
結構多趣味で、とにかくいろんなものに手を出したがるタイプの人間なんですけど、
ずっと趣味なのはアニメを観ること、マンガを読むこと、映画を観ること、ドラマを観ることですね。
最近はお散歩です。ただ何も考えずにお散歩します。
1時間2時間は普通で、しかも知らない場所に行くんですよ。
迷子になるんですけど、今はGoogle先生という温かい味方がついているので。
―新しい場所で新しい刺激を得ようと?
そういう考えではなかったんですが、
歩いていくたびに「こんなお花が咲いてる」って写真を撮って、家に帰って調べてみたりとか、
「この路地に入ったらいつもの道につながってるのかな」とか、見たことのない景色や発見は多いかもしれないですね。
―音楽も聴かずに、ただ歩くだけですか?
はい、ただ歩くだけです。周りの音も楽しくて。
マンションから聴こえてくる子どもの騒いでる声だったり、
ベンチに座ってるおじいちゃんおばあちゃんの会話だったり、普段すたすた歩いてしまうと、意外に聴く機会がないじゃないですか。
ゆっくり歩いてみると、面白いものばかりで新鮮ですね。
―竹原さんが思う、ボーカリスト、アーティストに必要なものは何ですか?
私、もともと自分に自信がなかったんですよ。
自分の声もいやだなと思ってましたし、歌もずば抜けて上手いわけじゃないし、なんかやだなって思ってたんですけど、
それでも一生懸命歌ってると認めてくれる人も必ずいるんですよ。
しかも、見えないだけで意外とたくさんいます。
だから、「自信がない」とか思わなくていいと思います。
私自身、この歌とこの声が個性になるって知りました。
出会いを大切にして、人と人とのつながりを大切にして、
1日1日を全力でこなしていけば、必ず見てくれている人はいると思いますね。
一緒にがんばって行きましょう!
「BARZ HOSE 代表 海老原俊之 様とEXIT TUNES 今泉佑理 様にもアーティストに必要な事やCDが出来るまで、そして今回の「冬椿」について話して頂きました。
―この度はXceonさんの2ndアルバム「冬椿」発売、竹原さんのゲストボーカル参加、メジャーデビュー決定おめでとうございます(会場拍手)。海老原さんは、会場の皆さんも聞いたことがあるようなアーティストを手がけていらっしゃっいます。これまで携わってきたアーティストに共通していることはありますか?
サザンオールスターズの桑田佳祐さんとか、B'zの稲葉浩志さん,松本孝弘とか、今でも活動している人たちに共通しているのは、謙虚なところですね。
腰が低いという意味ではないんですが、スタッフの意見を必ず聞くし、「こういうことやってみたらどうだ」と言ったら受け入れてくれることが多いし。
長く続くアーティストに一番大事なことは、謙虚なことだと思いますね。
―海老原さんにとって、竹原さんはどういう人ですか?
彼女のデビュー前からの言葉に印象的なものがあるんですよ。
「努力は絶対報われると思うんです」。
久々にそういう話を聞いたなと思いました。
ウサギとカメに例えるんなら、ウサギは天才肌で、カメはのんびりかもしれないけどしっかり足を地面につけて頑張る。あの物語では、結果としてカメが勝ちますね。
竹原がカメだというんじゃないですけど、彼女は一歩ずつちゃんとやっていく。
今でもSHOWROOMで週に1回は配信していて、そこで視聴者さんからのリクエストの弾き語りなんかを失敗しても「来週頑張ります」と言う。
次の配信で聞くと、良くなってるんですよ。
ちょっとずつでも努力している姿が見られると、「ちゃんと良くなってるじゃん、練習したんだね」と嬉しくなりますね。
―竹原さんをBARZ HOSEに所属させるとなったときの決め手は何ですか?
いちばんいいなと思ったのは清潔感ですね。
切ない声というか、張り上げるタイプじゃないですよね。かわいらしいというか。
そういう人が、今回の作品みたいな魅力的な歌詞に出会ったときに輝く。
主人公の女の子の、一生懸命頑張ろうとする姿、本当にできるかわからないけど不安の中頑張っている姿を、彼女なら歌えるんじゃないかなと。
ひとによっては、人の力を借りずに堂々と生きていけそうな歌になると思うんですよ。
僕はどちらかというと竹原のような声や存在を愛しいなと、魅力的だなと感じます。
―海老原さんにとって、竹原さんはどういう人ですか?
彼女のデビュー前からの言葉に印象的なものがあるんですよ。
「努力は絶対報われると思うんです」。
久々にそういう話を聞いたなと思いました。
ウサギとカメに例えるんなら、ウサギは天才肌で、カメはのんびりかもしれないけどしっかり足を地面につけて頑張る。あの物語では、結果としてカメが勝ちますね。
竹原がカメだというんじゃないですけど、彼女は一歩ずつちゃんとやっていく。
今でもSHOWROOMで週に1回は配信していて、そこで視聴者さんからのリクエストの弾き語りなんかを失敗しても「来週頑張ります」と言う。
次の配信で聞くと、良くなってるんですよ。
ちょっとずつでも努力している姿が見られると、「ちゃんと良くなってるじゃん、練習したんだね」と嬉しくなりますね。
―CDの売上も下がりがちな今だからこそ、求めるアーティスト像、「これから私はこういうアーティストを求める」というものはありますか?
アーティスト像と言えるかどうかはわからないのですが、前の会社(BEING)の社名が好きです。
「存在し続ける」っていう意味なんです。
僕が入ったときは10人ちょっとくらいの会社だったんですけど、最終的には販売会社も含めて200人以上になって、今も残っている。
「やり続けよう、存在し続けよう」という会社なんですね。
「やっていればチャンスは来るよ」って。
さらに前に務めていたレコード会社(ビクター音楽産業(現ビクターエンターテイメント))を辞めてBEINGに入社したとき、オーナーに「何がやりたい?」と訊かれて、僕は「レコード会社がやりたい」と言ったんです。
「レコード会社を辞めたのに、どうしてレコード会社をやりたいの」と返されて、「あれは僕が考えるレコード会社じゃないんです」と答えました。
当時のレコード会社は、電機メーカーの子会社なんです。だから社長や役員になるのは親会社から降りてきた人です。ビートルズを知らない役員がたくさんいる。
「それを『嫌だな』と思ったから、そうじゃない会社を作りたい、音楽を好きな人で作る会社がやりたいんです」と。
なるほどと言われて、「ZAIN RECORDS」という会社ができるまでに10年かかりました。
―結構かかりましたね。
でも、やり続けていればできたんで。
松本さんだって28歳でデビューですから、とにかくやり続けることです。
そうしていれば必ずチャンスは来ると思います。
反対に、やめてしまうともうチャンスは来ないんです。
ゲームから外れたことになるので。
だからこれからのアーティストには、やり続けてほしい。
ポール・マッカートニーはもう75歳ですから。現役でワールドツアーやってますけど。
ローリングストーンズも解散せずに、70~76歳なのに世界中回るんですよ。
つまりやり続けていっても、みじめなことにはならないんですよ
ロックやっても、不良っぽい音楽やったとしても全然、平気なので。
ずっと諦めずに、やり続けるのがいいと思いますね。
―「やり続けられるアーティスト」をこれから求めていきたいと。
そう思います。
―海老原さんがご活躍されてきた1977年から現在までに、制作の現場はどのように変貌してきましたか。

そう、作詞家、作曲家、アレンジャーって。
写譜屋さんって知ってます?
譜面に起こすだけの仕事をする人です。
尺がちゃんとしてないとミュージシャンが演奏してくれなくて、帰っちゃったりするんですよ。
楽譜が間違っているとわかっていてわざと間違ったまま演奏したり。
写譜屋さんがちゃんとしていないと、ミュージシャンが演奏してくれないような時代もあったんです。
「ジャンルは関係なく、演歌だろうが童謡だろうがポップスだろうが、譜面のとおりに演奏します」っていうミュージシャンが、特に弦の人に多かった。

そこからコンピュータが発達してきて、80年代に打ち込みがうまれて、今は全部ひとりでコンピュータソフトを使ってやっている。
Xceonさんもそう。

昔だったら、「こんなミュージシャンとやりたいな」と思うと大変だった。
ドラムだったら青山純さん、ベースだったら後藤次利さんみたいな大御所とやりたいと思っても、忙しくてスケジュールがとれない。
だからとりあえず曲が決まったら、ミュージシャンのスケジュールをおさえるんです。
スタジオの日もおさえて、ミュージシャンに来てもらう。
アレンジャーと作曲家が「どうしよう」となっていても、とりあえずオケだけ録ったという記憶がありますね。

ところが今では、コンピュータでいくらでも超才能のあるミュージシャンと出会える。
いい時代ですよ。

―危惧する声もありますが
それは曲の作り方の問題だと思います。
だから僕は古い人間だから、コンピュータで打ち込みから始めるくらいだったら、
アコースティクギター1本でまずは曲を作ってみて、そこからトラックを作ったらどうかと考えている。
マルチな才能のある人が、ひとりでいろんなことができるっていうのが、大きく変わったところだと思いますね。
―スタジオはこれからなくなっていくんでしょうか
いらないですね。
竹原の場合も、自宅でちゃんと歌録れますから。
もちろんレコーディングに耐えるようなもんじゃなく、簡単なデモテープとかですよ。
今回みたいに、Xceonさんから「こういう曲だよ」といただいたデータも、竹原に送ると竹原の自宅で歌を入れられます。
それをXceonさんに返して「どうですか」と言うとアドバイスがいただける。
竹原はコーラスも入れられますね。
そういうことはできたほうがいいと思います。
―これからは基本会わずに仕事をやっていくのですね
ライブとかはもちろん会わなくちゃいけないですけど。
海外のミュージシャンとやり取りする人ともたくさんいますし。
―ネットワークの時代ですね。
そう思いますね。
僕らの時代は、本当に有能なミュージシャンというのは高いお金を払って、空きの少ないスケジュールを確保してやっとレコーディングに漕ぎ着けるものでした。
今はパソコンの前に行くと天才ミュージシャンとたくさん出会える。いいですよね。
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―ポニーキャニオン傘下のEXIT TUNESの、今泉佑理さん、本日はよろしくお願いします。
「冬椿」2月7日リリースおめでとうございます。
「冬椿」のコンセプトをお伺いしたいのですが。
「冬椿」という楽曲が実は最初にありました。
コナミ(現:コナミアミューズメント)の音楽ゲームに収録されていました。
もともとゲーム音楽だったその曲を表題として、アルバムをリリースしましょうということになりました。
―私もそのゲームをやってみたんですけど、この曲難しいですね。
すごくたくさんノーツが落ちてくるんでびっくりしてしまいました。
最近上手い人が多いじゃないですか。

今泉:
なかなかゲームに慣れていないとゲームセンターでは肩身が狭いかもしれませんが、楽しいゲームですのでぜひ遊んでいただきたいです。
―「冬椿」は、映像を見ていても先が読めないのが面白いですね。
いろいろとイメージが膨らむ映像になっていると思います。
忍者が任務を遂行しているシーンですね。
主人公の忍者が最終的に死ぬのか、生きて帰ってくるのかは謎のまま終わります。
―収録曲が19曲とかなり多いですが、CDを作るにあたってはどのような取り決めがされているんですか?
最初の打ち合わせでは、「『冬椿』をはじめとして音楽ゲームからは何曲か既存の曲を収録しましょう」と決めて、「書き下ろしは何曲ぐらいいけますか」と相談しました。
17曲か18曲収録するという話だったんですけど、Xceonさんが頑張ってくださって、19曲のお得なCDになりました。
―曲が出来上がってから、CDになるまでにはどのような工程があるのでしょうか

今泉:
今日は、ブックレットの「色校正」を持って来ました。
「冬椿」のブックレット(歌詞カード)と、他作品のインレイ(バックインレイ,リアジャケット)と呼ばれる、CDの円盤の下に入ってる紙,帯です。
色校正は、デザインデータをプリント会社に入稿して、発売前にチェックするためサンプルとして返してもらうものなんです。
文字情報とか色味、切れちゃいけないところが切れてないか、収まっているかどうかをチェックします。

海老原:
規定文というもあるんです。メジャーのCDには必ず入ってます。

今泉:
帯の部分とジャケットの裏面に入れなきゃいけないお約束のものがありまして、品番とか発売日とかそういうのがちゃんと入ってるかも確認しますね。
盤面のデザインが2枚あるのは、色を重ねるからです。
白い下地と、その上にカラーを乗せるので、版が2つ必要なんです。

―専門のデザイナーさんがいるんですか?
デザイナーさんに依頼しています。
作曲家さんの意向を反映することもあります。
―実際にCDが流通していくまでにはどれくらいの時間がかかるんでしょうか

今泉:
発売日の約1ヶ月前に工場にマスターデータを納品します。
発売日の2週間くらいまえにはCDが出来上がって、倉庫に入るんです。
倉庫から、発注情報に沿って店舗さんに発送します。

海老原:
レコード店さんって忙しいんですよ。商品が届いたら箱を開けて、注文と合っているかどうか検品する。
箱から出したら万引き防止のカードを入れる。それから棚に並べるっていうのをやらなきゃいけない。
ポニーキャニオンさんのようなメーカーさんも、セールスマンさんがレコード屋の店舗に出向いて、注文書っていうのを回収するんですよ。
注文書に「この店舗には何枚」と書いてあるので、それがレコード会社の流通のほうに伝わると、CDがトラックに乗って各店舗に届きます。

今泉:
1枚のCDのために流通の方、セールスマンの方、たくさんの方が動いてます。

―本日は海老原さん、今泉さん、ありがとうございました!
「冬椿」のアーティスト・作曲家のXceonさんにも今回の作品ついて、作曲家として必要な事について話して頂きました。」
―2月7日「冬椿」リリースおめでとうございます。

19曲収録ということですが、曲を作るペースが早いですね。
ここまでが質問なので大きく太字にしてください。

―今回の作品について、Xceonさんの想い、コンセプトをお聞かせください。
最初は裏方として仕事を始めたので、アーティストとして活動することは想定していませんでした。
ファーストアルバムの「罪と罰」をリリースさせていただいたときには「これで終わりかな」と思っておりました。
2ndのお話をいただいたのも全く想定外で、「まさか2作も出るか」と。
1作目のコンセプトが「最後と思って頑張る」だとしたら、2枚目のコンセプトは「本当に最後」です。
あんまり変わってないですね。
自分がいつ終わってもいいように、いろんな方に音楽の血を残しておきたいなっていうのもあって、「いろんな方に歌っていただく」っていうのがコンセプトになっています。
―普段曲作りの際に、作曲家として意識していることは何ですか?
作曲家としての自分は、「こういう曲がほしい」という方がいらっしゃることを前提に曲を作りますので、その方が何をほしがっているのかを本当に考えます。
発注でもコンペでも、テーマに沿うことを意識しながら作曲をしております。
テーマに沿うためには技術も必要なんですが、とにかく相手が思っていることを、文面から読み取っていっています。
―アーティストXceonとしての立場から曲を作るときは何を意識されていますか?
作曲家としての自分の曲は、使われる用途が最初から決まっているんですけど、
アーティストとしての自分の曲の場合は、限られた場所でしか皆さんにお聞かせすることができないかもしれません。
日々生活に追われている中で、音楽を聴くタイミングってものすごく短くなってきていると思うんです。
「この曲いい曲だな」って、10年前だったらたぶん1分くらい聴いて判断してくれてたかもしれないものが、どんどん短くなっていく。
10秒とか15秒とかの中でジャッジされることが多いのではないかな、ということを私は意識しています。
10秒のなかでとにかく覚えやすく、とにかく耳にこびりつきやすく、10秒で「いい」って思ってもらえるようなものを目指して作っております。
―Xceonさんはいろんな方に楽曲への参加をお願いしてますよね。
 「この方に歌ってもらいたい」と選ぶ基準はなんですか?
僕はどちらかといいますと天才型ではないので、努力を続ける方が好きです。
こういう表現が適切かどうかわからないですけど、泥臭い感じの歌だったり演奏する方がすごく好き。
歌手だけではなく演奏家でも、天才プレーヤーよりかは泥臭系のほうがすごく好きで、そういう方を選んでいきます。
―海老原さんも仰っていましたが、「アーティスト活動を続けている方を重視する」ということでしょうか?
自分が身近に感じる音楽を表現するには、自分と多少似たタイプの方と組んだほうが、同じ音が出せたり、化学変化を起こすにしても良くなったりすることが多いと思います。
自分の作った曲に自分で共感したりとか、身近なところから始めていきたいので。
―私はXceon氏と始めて会ったときには「才能の人だな」って思ってしまったんですが
音楽って意外と泥沼にはまると面白かったりもするので、苦痛を苦痛と思われないというか。
できないことをやろうとするときってすごくエネルギーを使うので、もしかしたら努力って言葉がいちばん近いかもしれないです。
なりたい自分に近づくためのトレーニングはしているかもしれませんね。
―Xceonさんから見た竹原さんのイメージはどのようなものでしたか?

一生懸命さ、ひたむきさを感じております。
竹原さんの歌は、頑張ってる方に届く歌だって僕は解釈しております。
あとなぜか、1年半くらい前のはずなのに、初めて会ったときの記憶が思い出せないくらい遠いです。

竹原:まだ1年くらいしか経ってないです。

ひたむきだなあというのだけはすごく覚えてます。

―Xceonさんの曲づくりの工程を教えてください。
インスト楽曲を作るときはだいたいピアノから始めます。
ポップスに関しては、とにかく早い段階でサビだけを大量に生産するときがあります。
仮歌の方を最初に手配しておいて、そこに間に合うようにサビだけを作って、サビばっかりを歌っていただきます。
それを保存しておいて、時間があるときにアレンジをしていって、必要になったときは取り出します。
その間、ゼロからもういちど作っていく、という工程を辿ることが多いですね。
―ストックを作っておくんですね。
そうですね。とにかく曲をストックします。
ポップスの場合は、やっぱりサビのメロって結構大事だと思うので、時間があるときにいっぱい作っておくっていうのを日常的にやっております。
―1曲に向き合うのではなくたくさんの断片を作っておいて、あるときにそれを取り出してAメロとかBメロとか足していくことが多いですか?
はい。多いですね。
ゼロから作るときももちろんあります。
―メロディ先行でしょうか?コード先行でしょうか?
両方です。コードとメロが一緒に出てくるので。
ピアノでなんとなく弾きながら作る、同時型です。
―スランプはありますか?
スランプが毎日というか、スランプのときが実力だと思います。
―スランプになったら何をしますか?
本当に困ったときはストックから、もう一度アイディアを思い浮かべることもあります。
若いころはスランプとそうでないときの差がすごく激しかったんですけど、年を追うごとに一定になってきて、目立つスランプっていうのはあんまりなくなってきました。
あえて言うなら毎日スランプ、実は毎日スランプなんじゃないかなと。
―スランプから抜け出すにはどうすればよいのでしょう?
それには締め切りが大事だったりします。
締め切りを守らないと次のお仕事がないこともありますし、出し切れたと思えなくても、期間内に出せたものが自分の実力だと思うので。
―作曲だけのことじゃない気がしますね。
竹原:そうですね。やっぱり、毎日スランプかも。現状に満足しないというか。
―生徒からの質問です。「Xceonさんの使っている音楽ソフト・DAWソフトを教えてください」

Cubaseを使っております。
このアルバムで使ったピアノの音はThe Grandというソフトのものです。
音が良いからというよりは、長年使っていてフィットしてるからという理由で使っております。
シンセの音は、ビーム系とかトランス系のリードの音はZebraという海外のソフトから出していて、
あとNEXUSももちろん使っております。

他にももっといっぱいあるんですけど、ほぼほぼ固定されているのはこのあたりです。
KOMPLETEとかはいいんじゃないですか。

―「好きな異性のタイプを教えてください」

Xceon:
なかなか難しいんですけど、よく笑う方とかはいいなとは思いますけどね。
わかりやすいなと思います。
笑わない女性が笑ったときとかも、それはそれでいいですよね。
あんまり笑わない人が笑ったときって和みません?
怖そうな人が笑ったところとか見るとちょっと安心したりする。

竹原:
ツンデレ的な?

Xceon:
ツンデレ的な。それくらいですかね。
身長、髪型とかはそんな具体的に出てくるって感じじゃないです。
「よく笑う方」ということで。

竹原:
人を思いやれる人がいいなって。
私は家族が大好きなので、将来「結婚しよう」ってなったときに、家族を大切にしてくれる方じゃないとちょっとなあって思ってしまうんです。
ファミリータイプな、アットホームな人がいいなって思います(笑)

―「音楽と向き合うときに常に意識していること、これを大事にしてるから音楽やってるぞっていうのを教えてください」
締め切りしか見えない人生をここ数年送っておりまして…。
あえて言うなら、喜んでいただくことでしょうかね。
仕事があるということだから、締め切りも本当はありがたいもののはずですし。
「また次も喜んでいただけるように」とか、「次も発注してもらえるように」というのが、発注いただいた時点で意識していることですね。
締め切りの先にあるものってたぶんそれだと思うので。
本当は締め切りの前にあるものなんですけどね(笑)
「次も喜んでいただく」ということを意識しております。
―「冬椿」についてコメントをお願いします

竹原:
「Blue Glow」は、ほんとにまっすぐな素敵な楽曲になっていると思います。
100パーセントの力で歌いました。
皆さんが聴いてくだされば200パーセントにも300パーセントにもキラキラ輝くと思っておりますので、たくさん聴いていただけると嬉しいです。 よろしくお願いします。

Xceon:
1枚目のときと同じく、「今回が最後かも」と思って頑張って作らせていただいた2枚目です。
もちろんひとりで作ってるわけじゃなくて、たくさんの方に支えられて作った音です。
本当にありがたいことだと感じています。
でもそこで満足しちゃだめなんだと思うんで、オリコン1位を狙いたいと思います。

―Xceonさん、竹原さん、ありがとうございました
―(ミニライブ後)最後に皆様に一言お願いいたします

竹原:
大切に大切に歌わせていただいた「Blue Glow」という楽曲、たくさんの方に聴いていただけたら嬉しいなと思います。
一緒に覚えて歌っていただければさらにさらに輝く曲となりますので、ぜひ一緒に歌っていただけると嬉しいです。
私もそんなにずば抜けて歌上手いほうではないですが、感謝の気持ちと努力を忘れなければ、いつか夢は叶うということをみなさんにお伝えしたいです。
一緒に頑張っていきましょう。
本日は本当にありがとうございました。
竹原舞美でした。

Xceon:
竹原さんの仰るとおりです(笑)
皆さんに支えられて、2枚目のアルバムを出すことができました。
ぜひ今日が初めての方も多いかとは思うんですけど、もしよろしければ一度聴いてください。
よろしくお願いいたします。